「THREE DOG NIGHT」- LOSALIOS

夜。
男が望遠鏡のレンズを覗き込んでいる。
しかし、レンズが向けられているのは星空ではなく、もっと低い、水平に近い角度。
男はあぐらをかき、額に汗して、口を半分開いたまま、
己の眼球をこすりつけんばかりにレンズを凝視している。
何時間もの間、ずっとそうしている。
男が何を見ているのか、それは分からない。
男の傍らにはコンビニエンスストアかスーパーで購入したものと思われる
おにぎりやサンドイッチの包装フィルムのゴミ、
空になったペットボトルなどがいくつも転がっている。
しかし、朝になると男はもうそこにはいない。
そして夜になると男はまた姿を現し、前日の夜と何一つ変わらぬ様子で
望遠鏡のレンズをひたすらににらみ続ける。
そして朝には姿を消し、夜になるとまた姿を現す。
それが、幾日も、幾日も、幾日も続く。


一体いつからそうしているのか。
この男の目的が一体何なのか。何かをずっと見ているのか。もしくは見ようとしているのか。
分からない。さっぱり分からない。皆目見当もつかない。
しかし気になる。
何かあるに違いない。
何か、よほどのことに違いない。
気になってしょうがない。
気になりすぎて夜もろくに眠れない。
通信販売で買った望遠鏡が、今や当初の目的とは違う形で大いに活躍している。
いつの日からか、わたしの傍らにはコンビニエンスストアやスーパーで購入した
おにぎりやサンドイッチの包装フィルムのゴミ、
空になったペットボトルなどがいくつも転がっている。

隣の部屋の住人が、狂ったような音楽を、馬鹿デカい音で流し続けている。


The end of the beauty
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このページは、くるっくるが2016年7月14日 21:27に書いたブログ記事です。

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