彼女の愛犬が逝った、15年の生涯。
ちょっとした用事が会って、そろそろ会おうか?
なんて連絡すると、実家で飼っている犬が死にそうで、
実家に戻って来てますと。
聞けばゴハンも水も飲まず、なんとか息をしている状態。
週が明けて彼女に連絡してみると東京に戻っていた、
この春、初めて社会人になった彼女が言う。
仕事があるので東京に戻って来たと…。
社会人になって早々、早速、自律神経がやられそうな出来事だね、
彼女の気持ちが計り知れない、思わずこっちまでうるうるする。
お金がないからあまり飲みに行かないと言っていた彼女にとって、
実家に帰る交通費もどれだけ負担なのか想像に難くない、
それでも一刻も早く、わずかな週末の時間を帰るのは
家族を大切にしている人なら当たり前だ。
時をほぼ同じくして自分の叔母がガンで入院した、
おそらくもうそんなに長くない事は誰の目にもわかった、
もうゴハンも食べられなくなっている。
※食べても食べても吐いてしまう。
ニューヨークにいる末の娘(僕のイトコ)に状況が状況なので
帰っておいでと次女が連絡をしたらしい、が、
末の娘が言うには
「親がガンで死んだ人たくさん見てきたけど、
それで自分の人生変えた人見たことない」
「5年もお世話になった土地や人と
別れる気持ちはわからないだろうね」
と彼女。
そんな彼女のドライな考えに救われない気持ちになる。
ただ、もちろん、彼女にも彼女の考え方があるし、
果たさなければならない義務や仕事があるのかもしれない。
でも僕は違うと思う。
家族や身近な人を大事にして愛せばこそ、
また他人に対する思いやりや、やさしさも芽生えてくる。
果たさなければならない義務や仕事よりも家族や愛する人を大切にする、
そんな時代になった気がするのだけど…。
先の彼女とイトコを比べるとイトコの薄情さがツラい。
時として愛する者の死を看取る事も許されない社会人の厳しさは
犬から彼女への最後の大切な教えだったと思う。
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