「The Maid Freed From The Gallows」- John Jacob Niles


「The Maid Freed From The Gallows」


金を賭ける遊びがエレガンスさに欠けるものだとあの子はよく知っていた。
だから古びたカレッジリングの身代わりになったのも分からない話じゃなかった。
記憶の中の澄んだ瞳に細かい砂が混じる。
いくら水で流しても舌に残る不快感はエセ神父の戯れ言と相まって、喉の奥に静かに血を滲ませた。


「彼女は羽ばたいた。今、自由な翼を与えられて。」


垂れ下がるロープは風に揺れ笑い声をたてる。
黙らせるために引いたトリガーはフライパンの中の豆のように音を立てて跳ね、
その音はこの砂色の乾いた空気を割って、拾えない場所までどこまでも飛んでいった。


足下に転がるコイン。
鈍い輝きが低い声で口笛を吹く。

道のない地図を辿る舟が、神のゆりかごに見えた。


END

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このページは、小椋夏子が2014年3月12日 21:16に書いたブログ記事です。

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