「笑ってサヨナラ」- フジファブリック

どこまでも続いているような
赤黄色のトンネル並木道
くぐって　くぐって　くぐり抜けて
振り返ったら最後
そこは別世界

ある日　ある時
落ち葉並木の片隅で一人の男の死体が発見された
特に目立った外傷も無く
ぱっと見　死んでから間も無い
死にたてほやほやの新鮮死体だった
死因は不明で　身元も不明
しかしそれ以上に気になる点が一つ
笑っていた
何か　喜んでいるような
何か　安心しているような
何か　赦しているような
そのどれもであるような　どれでもないような
不思議に穏やかな死に顔

この男にいったい何があったのか
どんな心持ちで最期の瞬間を迎えたのか
「死」という絶対的なものに対して
どんな理由で　どういった経緯があってあの表情に至ったのか
こんな事があったんじゃないだろうか
あんな事もあったかもしれない
いやいや案外こういう事だったのでは
しかし　死人に口無し
結局誰一人　想像の域を超える事はできない
不思議な微笑みが　残された唯一の物語