「ホープ」- 真島昌利


太陽のきみへ

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やぁ、おはよう。
きみのところはいま何時だろう。
コッチはお陽様が山から出てきて少し経ったところだよ。
山から数えて、そう太陽8つぶんくらい。
あと3つ4つ進んだら腹の中の虫が鳴き出すだろう。
ところで時計って何の為に必要だったんだっけね。


思えば湖を歩き始めてずいぶん経つよ。
あの日、石ころを並べてから一体どのくらい歩いたのだろう。
湖を左手にして歩き続けているけれど
本当に形をたどって歩いているのだろうか。
確かに足は前へ進んでいるのだろうか。
あの石で作った×印をとうに通り過ぎてしまってはいないだろうか。
あまりに果てしないのでだんだん不安にもなってくる。
自分が夢から覚めているのかさえも疑わしく思う。


とはいえ近頃は気候も程よくて
今日も芝の上に寝転がりながら空の観察に勤しんでいる。
どうやら根っからの怠け者らしい。
悩んでいるようで実のところ大したことないのかもしれない。
時間はもう戻ってはこないけれど、戻ってくる必要もない。
吸った息が二酸化炭素になるように
過ぎた時間のことは、時間自身に任せるよ。
時間はやさしくもなるんだから。


今日は今日の風が吹く
と誰かが言っていたのを思い出した。
だんだんよくなっていくんだ。
ゆっくり、じょじょに、すこしずつ。
だから今は草の上で空を眺めているよ。
それが湖を歩くことのひとつでもあるんだから。


じゃあね。
ここの芝の匂いはきみの家の芝によく似ているよ。
朝露でしっとり濡れた背中を見て、また笑っておくれ。


はだかの太陽より

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このページは、小椋夏子が2013年6月 7日 23:55に書いたブログ記事です。

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