レコレコ

スクリーンに　おれが映っている
暗い館内　満員の観客と一緒に
おれも座席に座って　それを観ている

スクリーンには　おれが映っている
おれの友達や　家族や　ただの知り合いや
名前も知らないたくさんの誰かが
入れ替わり立ち替わり　出ては消える
みんな　何かしゃべったり　笑ったり
どこかへ向かって歩いたりしている

どこかで見たことのあるような風景
よく知っている風景
知らない風景

物語は途切れ途切れで
時代も展開もめちゃくちゃ
全然関係のないシーンのツギハギ
でも
それぞれのシーンに　それぞれの色があって
ふわっ
と　おれの胸の中の色も
それに合わせて切り替わる

声は聞こえず　足音も聞こえず
風の音も　何も聞こえない
ただ音楽が　おんなじ曲が　何回も何回も
ずっと鳴りつづけている　
どこか遠い遠いところから響いてくるように
小さく　でも　確かに聞こえている

スクリーンの中に　おれがいる
みんな　それぞれのスクリーンの中に
自分自身が映っているんだろうか
みんな　スクリーンの中にいるんだろうか

いつの間にか終わっていて
スクリーンには何も映っていない
おれも　みんなも　ぞろぞろ　ぞろぞろと
外へ出た
中から外へ　外から中へ？

物語は　本当に終わったんだろうか