「Starlight」- MUSE

○月×日
起床時間:不明 天候:快晴
この日記も今日で最後になるだろう
おれ以外に誰が読むでもないこの日記を
長い間書き続けてきたのは他でもない
おれ自身の気を確かに保つため その一点に尽きる
天候は快晴だ 快晴でないわけがない
流星群でも降ってくれば そういう天気だと言えなくもないが
起床時間 そんなもの分かるわけがない
四六時中 リアルプラネタリウムの特等席だ
日付 そんなものは存在しない
我らが太陽は 物理的にも精神的にも遥か彼方だ
ではなぜこの日記が「今日」で最後になるのか?
ふふん それはただの 言葉遊びってやつだ

孤独
それが続くと 人間の精神というものは面白い働きをするものだ
計器類の針やバックライトに話し掛けるなんてのは序の口
おれがおれ自身に話し掛けて おれ自身がそれに答えて
賛成したり反対したり しょうもない冗談を飛ばしたり
こちらに向かってくる小惑星に猛烈な親近感を抱いたり
(もしほんの少しでも掠れば命は無い 幸か不幸か ニアミスに終わった)
意味も理由も無い思考 言動のオンパレードだ

おれは気が狂ってしまったのか 否か
気は「確か」か まだ「正常」か 何度も考えた
ここにはおれしかいない
おれが何を考えようと 何を言おうと 何をしようと
比較対象が誰もいないのだから
自分が狂ってしまったのかどうかも分からない
結局 行き着く答えはいつも同じ
狂っている? 狂っていない? 一体何の違いが?
意識がある
ザッツオールだ
われおもう ゆえにわれあり だっけ?
何も案ずる事は無い
ではなぜこの日記を書いているのか?
「おれ自身の気を確かに保つため その一点に尽きる」のではなかったのか?
ふふん 物事の矛盾だとか 整合性だとか
そんなもの 腹の足しにもなりゃしねえ
何も なあ~んにも案ずる事は無い

そんなこんなも もうすぐ終わる
理由は単純明快 食糧が尽きたのだ
いずれこうなる事は分かっていた
人間とはこういう生き物なのだ
かなしさは無い さみしさも無い
ただ 何か 大きな安心感のようなものを感じている

ああ そうだ
最後に音楽をひとつ かけるとしよう
この音楽は この日記とともに
この旅を続ける上で大きな支えになった
音楽とはふしぎなものだ
遠い遠い記憶の海を旅したような感覚をくれる
さて
それではそろそろ
おれも この宇宙を漂う ただの塵に戻るとしよう

大音量で エンドレスリピートだ

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このページは、くるっくるが2013年4月 1日 01:01に書いたブログ記事です。

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