「One Way or Another」 - Blondie

来週のきみへ

DSC_9354なおし.jpg


おはよう、気分はどうだい。
こっちは昨晩の美味しいディナーのおかげでまだお腹がパンパンだよ。
クローバーひとつまみに土筆を3本と蛇イチゴひとつ。
それとたっぷりの水!
どれも採れたて新鮮だよ。なんて贅沢なんだろう。
もうこんな贅沢しないほうがいいね。
ぺちゃんこのお腹のためにも…。


さてどうしてこんなにお腹が空いているのかというと、
鴨たちがその訳を知っているよ。

ある気取った一匹の鴨がいるんだ。
頭の羽根をスキージャンプ並みに急カーブさせた鴨さ。
くちばしの形も美しいし鼻の穴の位置もバツグン。
たくさんの取り巻きもいた。


そんな鴨がある日、恋をした。一目惚れだった。
相手は一匹の魚さ。
水の中でふと目が合った瞬間から恋が始まったんだ。
鴨はいつものようにご自慢の羽根に滴る水をきらきらさせながら
その魚にアプローチをはじめた。
愛の歌を歌い、踊りを踊り、それに歓声をあげる取り巻きの数を見せ、
自分がどんなに優れているか存分に示してみせた。

しかしそれを一通り見た魚は、泡をひとつふたつ吐くと
長い長い糞を残してその場を去ってしまったようだ。


何が気に入らなかったのかはわからない。
或はただ単に目が悪い魚には鴨の様子が見えなかったのかもしれない。
でもどちらにせよ魚は鴨の前からいなくなり
残ったのは糞と動揺した取り巻きのひそひそ声だけだった。


鴨は悲しみと怒りと羞恥に震え、
取り巻きの鴨たちにあの魚を見つけ出して食べてしまうように言った。
取り巻きたちは我先にと手当たり次第に魚を食べた。
鴨も血眼になってあの魚を探していた。
朝も昼も晩も鴨たちは魚を食べ続け、
ついに水面には一匹も魚が上がって来なくなってしまったんだ。


あの魚が食べられてしまったかどうかとか
あの鴨が今どうしてるかなんて知らないけど
魚が捕れないせいで夕飯はそのへんの雑草だったわけだよ。

今は丸々太った鴨がそこらじゅうにたくさんいるんだけど。


じゃあね。
きみの胃袋がいつも幸せで満たされていますように。

ネズミのエサより。


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このページは、小椋夏子が2013年4月10日 19:05に書いたブログ記事です。

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