「Heal The World」 - Michael Jackson

愛に溢れた場所のきみへ



DSC_8178.JPG


きみのいる場所にもう雪は降ったかな。
湖には薄水色の氷が張って、それを雪が覆っている。
だから歩いているとうっかり足が湖に嵌ってしまったりするんだ。
冷たい水は針山のように突き刺さり、靴をずぶずぶに重くする。
それを味わうたびに足下に気をつけようと思うのだけど、
靴の水が全部抜けた頃にはまた嵌っているんだ。
その繰り返し。


そういえば、その割れた氷の間から魚が顔を出してきたことがあった。
その魚たちは怒鳴り合い睨み合い泣きわめきながら、
我先にと水面に顔を出し訴えてきた。
話を聞くところによると、どうやら湖の中にもう食べる物がないらしい。
自分たちよりも大きな魚の群れが食べ物を独占しているせいで
仲間たちは空腹に苦しみ、何匹も腹をむけてひっくり返っているそうだ。
この争いはいくつもの冬の間にも行われ、ひとつ前の冬は立場が逆だった。
奪い、睨み合う、その繰り返し。


こういう時、どうすればいいのか知っているよ。
きみが教えてくれたあの曲を思い出した。
必要なのは戦い方でも体の鍛え方でも黒魔術の仕方でも上手い悪口でもない。
誰かがふたつの間に立って両方を説得するのも違う。


一人一人が思い出すんだ。
まだ卵だった頃を。
大きな愛の膝の上でまぶたを閉じ、あたたかいお天道さまの光で暖められていた時のことを。
わたしはきみで、きみはわたしだった。
それを思い出せばいい。
ただ存在することをやめて、生きることを始めるんだ。
簡単なことだよね。


いま焚き火で靴を乾かしているんだ。
もうすこしで完全に乾くかな。
明日は、明日こそはきっと濡れさせはしないさ。
靴も、靴下も、足もね。


じゃあね。
きみのお気に入りのスニーカーが明日もきれいなオレンジ色でありますように。


幸せの涙より。

デンジャラス
デンジャラス
posted with amazlet at 13.02.01
マイケル・ジャクソン
SMJ (2010-06-23)
売り上げランキング: 31,862

Trackback(0)


(言及リンクのないトラックバックは無視されます)

Comment

Calendar

アーカイブ

このブログ記事について

このページは、小椋夏子が2013年1月19日 15:08に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「「Western Girls」 - Dragon」です。

次のブログ記事は「「Walkin on Stilts 」- Josh Dion Band」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。