ラララのきみへ
やぁ、やっと湖へとたどり着いたよ。
ずいぶん大きな湖だ。向こう岸が見えない。
いま立っているところから、同じくいま立っているところまで
ぐるりと回ったらいったいどれだけの時間がかかるのだろう。
日が昇って、沈んで、何度ご飯を食べるだろう。
いくつの鼻歌が生まれるだろう。
そんなことを考えてた。
すこし濁ったターコイズブルーの水は、目が覚めるほど冷たくて微かに生臭い。
よくよく覗いてみると群れを成した銀色の小魚が泳いでいた。
ふといたずら心に駆られて水面につっこんだ手をその群れの中にふいに飛び込ませてみると、
魚たちは大慌てで一斉に散らばった。
こんなことをして、きみが見ていたらきっと怒っただろうね。
でも小魚の銀色のウロコが波と共にあちらこちらと煌めき、
湖底の砂がうずをまいて水を濁らせる様はすごく美しかったんだよ。
日が傾きかけた頃、足下に小石を集めて×印をつくった。
気になることは自分で調べなきゃ納得しないたちだ。
この×印から、湖の周りを一周してまたこの×印へ戻ってみようと思う。
決まった場所に戻ることが目的の小さな旅なんて面白い。
ここから何処へ行くの?なんて歌があったよね。
これまでの旅では答えられなかった。
でもいまはとりあえず決まっているよ。
ここから、ここさ。
じゃあね。
この湖が思ったより大きくなければ、また×印の話になるだろうけど
海のように大きかったら、道中の話を教えるね。
雨の中のバッファローより。
Capitol (2000-08-11)
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いいねぇ!
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>くるっくる
ありがとう!
うれしい〜