今年もまた卒業シーズンが来た、みんな卒業するんだね。
そして僕はこの季節が嫌いだ。
僕にもその昔卒業式があった。
最後の卒業式は中学生の時、
女子はみんな涙を流して、男子は解放感に満ちあふれた笑い声をあげていた。
でも僕にとってそれは世間一般で言う卒業式とはほど遠い、
噛みすぎたガムみたいに味も素っ気もない無味乾燥な物だった。
机に開いた穴に消しゴムのカスをただただ詰めて過ごした3年間。
いったい何を卒業したんだろう?
夢や希望はあったけど、それは何一つ叶わなかった。
授業中、コツコツと先生の板書する音。
昼休み、みんなの笑い声と喧噪。
放課後、校庭に響き渡る部活動の掛け声。
それは全部まるで昨日の事の様。
ああ、いやだ、いやだなあ。
仕組まれた自由に気づかずに、あがいた日々を過ごせたなら、
心から卒業出来たのだろうか?
心から卒業出来たと思える様、先生、教えてください。
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